『氷点』(上)・(下)
2012年 08月 21日
発行所:(株)角川書店
初版:1982年1月
定価:(上)・(下)各460円+税
先日、北海道の旭川にある三浦綾子記念文学館を訪れたのを機会に、
三浦綾子さんの『氷点』を読み返してみた。
この作品は、1964年(昭和39年)、 三浦綾子さんが42才の時に、
朝日新聞社の1千万円懸賞小説に入選した小説だ。
旭川を訪れたばかりなので、見本林・美瑛川・大雪山などの地名に、
何だか親しみを感じた。
以前、読んだはずなのに、覚えていたのは大筋だけで、
ほとんどの内容は忘れてしまっていた。
人間の心の奥底にある、汚れた醜い思いや、
また自分でそう思っていなくても、流れている罪の血について、
キリスト教の「原罪」ということを、分かりやすく書いた本だと思う。
「一途に精いっぱい生きて来た陽子の心にも、氷点があったのだということを。
私の心は凍えてしまいました。
陽子の氷点は『お前は罪人の子だ』というところにあったのです。・・・・・」
(『氷点』のクライマックス部分より引用)
三浦綾子記念文学館に展示されていた文の中に、
この『氷点』を読んで、一人でも罪ということを知ってもらえれば・・・
といったことを、三浦綾子さんが書かれていたが、
このように多くの人に読まれるようになって、素晴らしいと思う。